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物語は山村では貧しい暮らしが当たり前だった昔の話です。主人公のあやは山菜をとりにいって,山姥に出会います。怯えるあやに山姥は、やさしく語りかけます。それは花さき山に咲く花の秘密でした。その美しい花は、里の人がやさしいことをするとひとつ咲くというのです。 このページを開いたときの、妖しいまでの美しさは忘れられません。そこであやは自分の花も咲いていることを教えられます。それは、あやが妹のために祭りの晴れ着を我慢したときのものでした。山から帰ったあやは、それ以来「あ、今花さき山でおらの花がさいてるな」と思うことがあるようになります。
この花を咲かせる「やさしさ」とは何でしょう?あやが「晴れ着を我慢」したとき、あやは妹の為に自分を犠牲にしたのでしょうか?
きっと、あやは自分を犠牲にしたなどとは思わずに、ただ妹や母親の笑顔が見たかっただけでしょう。妹の笑顔があや自身の喜びなのです。この物語は、他人の喜びを自分の喜びとできる心、そしてその喜びを心の中に咲く花として捉えることの美しさを伝えています。それは自己犠牲という精神よりも、もっと明るく健全な心の働きだと思います。滝平 二郎氏の素晴らしい切り絵も、この物語の美しさを一層引き立てています。(小田切聖之介)作: 斎藤 隆介絵: 滝平 二郎出版社: 岩崎書店税込価格: \1,260(本体価格:\1,200)発行日: 1969年ISBN: 9784265908202