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海のおばけオーリー
情報サイド - おすすめ書籍
2009年 11月 06日(金曜日) 12:09
uminoobake

海辺でアザラシの赤ちゃんが生まれました。
お母さんがエサを取りに沖に出ている隙に、一人の水兵が赤ちゃんを連れて行ってしまいます。赤ちゃんは動物屋に売られ、オーリーと名付けられました。
少し大きくなると、水族館に引き取られることになりました。たくさんの人がオーリーを見にやってきました。
飼育係は優しい人でしたが、オーリーはお母さんのことを思い出すと、すっかり元気をなくしてしまいます。見かねた飼育係は、湖に放してあげます。
すると、湖に出没するオーリーにみんなはびっくり、オバケだと勘違いしてしまったのです。大勢の人たちがやってきて、捕まえようとしますが…。

モノクロで描かれたこの物語は、一見地味ですが墨色のやさしさ・あたたかさが伝わってくる魅力溢れる絵本です。また、この墨色はオーリーが泳ぐ夜の湖の水の暗さ~ある種の不気味さ~をとてもよく表現しています。
この不気味さは、こんなに愛らしいオーリー~表紙のまあるくつるんとした頭のなんと可愛らしいこと!~がオバケと間違えられてしまう理由になっているのでしょうが、同時にオーリーが感じている人間達の怖さも現しているのだと思います。
必要以上にオーリーの感情に立ち入ることなく、墨絵の淡さでもって淡々と描かれているだけに余計にそう感じてしまいます。

このお話は60年以上前(1947年)に作られました。
ですから登場する人間達の服装や自動車など、どれもレトロな風情です。
墨色の絵は、このレトロな風景にもよく似合っています。

人間達がオバケで大騒ぎしているのに対し、自由になったオーリーは無邪気に泳ぎ回り、人の近くに寄ってはさらに騒ぎを大きくしてしまいます。
この対照的な姿には、オーリーの野生のたくましさを感じられるのと同時に、人間達の滑稽さに胸がすく想いがします。
そして作者エッツの小さいものに寄せる気持ちのあたたかさを感じます。

絵本にしては1ページをコマに区切った漫画仕立てになっていますが、最後にオーリーが辿った軌跡が見開きいっぱいに描かれています。
その道程の長さに驚くばかりですが、それだけにオーリーがおかあさんに出会えたときの読者の嬉しさもひとしおです。

(小田切聖之介)

作・絵: マリー・ホール・エッツ
訳: 石井 桃子
出版社: 岩波書店  
税込価格: ¥1,470
(本体価格:¥1,400)
発行日: 1974年
ISBN: 9784001105674

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海のおばけオーリー
 
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