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シリーズ経営3
情報サイド - 解説
2009年 10月 07日(水曜日) 15:59

絶対潰れない覚悟の経営5ヶ条

資金繰りに追われる経営者は危険

倒産の原因は様々だが、最終的なトドメとなるのは資金ショートである。それは大企業、中小企業を問わない。

昨年は不動産業を中心に上場企業がバタバタと潰れたが、そのほとんどは、 銀行融資の打ち切りや、外国資金の引き揚げによる資金ショートが原因である。中には黒字経営であったにもかかわらず、倒産を余儀なくされたケースもある。

100年に一度の世界同時不況を前にして、各国とも金融対策、財政出動に余念がないが、一向に明るい兆しは見えない。日本政府は総額43兆円の経済対策を掲げ、銀行保有株式の20兆円規模の買い取りを決めた。

日銀も政策金利を0.1%まで引き下げた上、国債もCP(コマーシャルペーパー:企業が資金調達のために発行する約束手形)も買い取るという。

それでも不安を拭えないのは、日本企業の9割以上を占める中小企業を、直接的に支援する施策がないに等しいからである。

株式もCPも中小企業には無縁だし、買い取るといってもそれは銀行保有分にしかすぎない。金融機関に資金を供給するから、そこから中小企業へ流せ、ということなのだろうが、資本の目張りから増資を迫られている金融機関がすんなりと応じてくれるだろうか

むしろ、貸し渋りの傾向が強くなると見るのが、バブル崩壊から失われた10年にかけての教訓であろう。

あの時、金融機関のありようを学習した経営者は生き残れるかもしれないが、相変わらず資金繰りに追われる経営者は危ない。

夜逃げからUターンして再起を図る

実例を紹介しよう。Nさんは北海道で鉄工所を経営していた。バブルのときは御多分に洩れず、飛躍的に業績を伸ばした。ところが平成元年、1億円余りの設備投資を行ったところでバブルがはじけた。

たちまち鉄骨価格は下落し、受注も減っていく。過当競争から採算割れ受注が続き、ついに会社は赤字転落を余儀なくされた。と同時に貸し渋りが始まった。バブルのときや設備投資のときには、「いくらでも貸す」と言った金融機関が、手の平を返したように貸し渋る。そしてほどなく全面ストッス。Nさんはトドメを刺された。

折りも折、入院していた母親が死亡。何もかもイヤになったNさんは、葬儀を終えたその夜、奥さんと3人の子を連れて夜逃げ。いったん東京の叔父を頼ったその足で、八起会を訪ねてきた。平成6年11月のことである。

事情と経営内容を聞いて、再建可能と判断した私は「すぐに北海道へ戻って債権者に頭を下げ、再建をお願いしなさい」とアドバイスした。Nさんは驚き「やっとの思いで夜逃げしてきたのですから、今さら帰るなんてできません」と言う。無理もない。

しかし、夜逃げ「世逃げ」である。いったん逃げたら一生逃げ続けなければならない。債権者は夢の中まで追ってくる。そんな平安のないびくびく人生は人生の名に価しない。何よりも、夜逃げした経営者の再起はきわめて難しい。

Nさんの場合、たとえ再建が不可能だったとしても、法的にきちんと整理すれば、また人生をやり直せる。再起もできる。

私はそのことを諄々と説き、「あなたは事業に失敗しただけで、人生に失敗したわけではありません。あなたより厳しい条件から再起した八起会会員は、大勢います」と話したところ、ようやくNさんも「わかりました。帰ります。やってみます」と納得してくれた。

資金繰りは経営ではない

こうしてNさんは北海道へ戻り、債権者に頭を下げ、裁判所へ和議を申請して認可を受け、平成7年から事業を再開した。ゼロどころか、負債を背負っての再スタートである。並大抵の努力ではなかった。そして苦節10年、平成17年にようやく和議終結となった。

目下、Nさんの経営は順調そのもの、無借金経営である。それを支えるが、大学を卒業してNさんの会社に入った2人の息子と、次の「経営5ヶ条」である。

①二度と借金はしない。赤字で運転資金が必要になったら、すぐに会社をたたむ。

②手形を発行しない。仕入先に支払う金がなかったら、頭を下げて待ってもらう。

③経済環境の変化で事業縮小、リストラが必要になったら、即座に実行する。

④設備投資は自己資金の範囲内で行う。

⑤役員報酬は必要最低限とし、内部留保を高めて会社の力をつける。

すさまじい覚悟の5ヶ条である。バブルとその崩壊、血の出るような資金繰りと夜逃げ、その修羅場をくぐり抜けた学習効果と言っていい。

Nさんは
「倒産から2つのことを学びました。1つは金融機関と上手に付き合うべしというが、金融機関を過信してはならないこと。もう1つは資金繰りは経営のうちに入らないこと。この2つです」 重い言葉である。

八起会会長:野口誠一

 
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